プロゲーマーの歴史について調べてみた④~Beast Daigo 格ゲーブーム再び
プロゲーマーの歴史について調べてみた③~韓国産FPS、プロモーションとしてのプロゲーマー - ゲームのブログ
↑前回の記事
格ゲーが得意な日本人
ブンブン丸らのタレントゲーマーが一世を風靡した1990年代後半以降、法改正でゲームセンターが下火になったこと、複雑化する格闘ゲームが初心者ユーザーを排除しがちだったことから、格闘ゲームは低迷していた。
しかし、海外でeスポーツの人気が高まると、日本の格闘ゲームは海外で注目されるようになり、海外の大会で活躍する日本人プレーヤーが増えるようになった。FPSとは異なり、格闘ゲームは日本で生まれたゲームだ。日本に優位性があった。
日本のゲーマーはスト2やバーチャで育ったのだ。
Beast Daigo
その代表的なプレーヤーが梅原大吾である。
有名なEVO2004のVSジャスティン戦の動画。2:44あたりからのブロッキングの攻防とか、なにがなんだかわからないけどすごい。カリスマには語るべき伝説が必要だ。
そういうゲームじゃねえからこれ。
増える日本人プロゲーマー
VSジャスティン戦が行われたEVOとはEvolution Championship Seriesの略。対戦型格闘ゲームのエレクトロニック・スポーツ大会のひとつで、米国で開催されている大会だ。この大会で梅原を代表とする日本人勢が活躍している。
2003年から、このEVOなどの海外の大会に参加していた梅原だったが、2010年4月、米国の周辺機器メーカーMadCatzとスポンサード契約を締結し、ついにプロゲーマーとなる。梅原に続き、マゴ、ときど、といったプレーヤーが、続々とプロ化した。
賞金だけで食っていけるのか
ちなみに、EVOの賞金はというと、EVO2014の「ウルトラストリートファイター4」の賞金予想は下記のとおり。これだけで食べていける、というほどじゃない。
- 優勝(約 174万円)
- 準優勝(約 58万円)
- 3位(約 29万円)
- 4位(約 11万円)
- 5位タイ(約 5万円)
- 7位タイ(約 2万円)
- 9位タイ(約 2万円)
- 13位タイ(約 1万円)
梅原の活躍で格闘ゲームが取りざたされてはいるものの、米韓での人気競技はFPSやMOBA(マルチプレイヤー・オンライン・バトル・アリーナ)。CS:GOやLoL、Dota2の億単位の賞金と比べると、かなり控えめな数字に見える。
海外でも格闘ゲームが人気、とはいえ、格闘ゲームは日本生まれのゲームだ。FPSやMOBAといった米国・韓国生まれのドメスティックなジャンルのゲームに比べると、盛り上がりが一段下がってしまうのは、仕方がないことなのかもしれない。
SIGUMAと4dN.PSYMIN、そして梅原。いったい何が違ったのか?
日本初のプロゲーマー、SIGUMAや4dN.PSYMINを思い出してほしい。彼らはなぜプロゲーマーとして存在し続けることができなかったのだろうか。梅原と比較してみる。
SIGUMAや4dN.PSYMINが目指したCPL2005(冬季大会)では、CSの優勝賞金は1万8000ドル(約180万円)だった。梅原が参加したEVO2014のウル4の優勝賞金も約174万円。規模的には、ほぼ変わらない数字といえる。
では、何が違ったのか?プレーヤーとしての実力か?
否、それは参加したゲームジャンルの日本での認知度、でしかなかったのではないか。格闘ゲームが浸透している日本では、格闘ゲームのプロゲーマーとしての活動は語られやすく、大会での賞金以外にも稼ぐ手段があった。
もちろん、梅原、ときどといった人気プロゲーマーが、何年もかけてゲームを続け、結果を残してきた実績があるからこそなのだが、自分の活動を語ることのできるコミュニティが、マーケットが、格闘ゲーム界隈には存在するのだ。
反面、日本ではマイナーなFPSの場合、そのような状況は存在しなかった。そもそも誰もFPSという言葉さえ知らなかったのだ。世界大会で優勝でもしない限り、誰からも見向かれず、話題にさえならない。冷静に考えて、そりゃ無理だよね。
その⑤に続く